パンフレット

血管外科

診療・各部門

下肢静脈瘤に対しての血管内焼灼術(高周波焼灼術、塞栓術)、静脈瘤切除術を行っております。
特に令和4年度から最新の低侵襲手術である血管内塞栓術も導入しました。

下肢動脈閉塞症の診断や治療を循環器内科や血管診断技師などと連携して治療を行い、
重症な下肢壊疽の回避や下肢切断の救肢を行います。

フットケア外来を開設しております。 フットケア外来のご案内

腎・血液浄化療法科と連携して内シャント造設術も行っております。

このページの目次

医師紹介

医師名

役職

認定医・専門医

  柏崎 暁
kasiwazaki
部長 ・医学博士
・日本外科学会 認定医
・日本外科学会 外科専門医
・日本胸部外科学会 専門医
・下肢静脈瘤血管内燃灼術 実施医認定

特色について

血管外科では下肢静脈瘤、深部静脈血栓症などの静脈性疾患や下肢の閉塞性動脈硬化症、慢性動脈閉塞による虚血性疾患、腹部大動脈瘤などの動脈性疾患に対しての血管治療を積極的に行っております。当科の特色として、下肢動脈閉塞症の診断や治療を循環器内科や血管診断技師などと連携して治療を行い、重症な下肢壊疽の回避や下肢切断の救肢を行います。
当科では腎・血液浄化療法科と連携して内シャント造設術も行っております。
横浜中央病院では「フットケア専門外来」を開設しております。 閉塞性動脈硬化症や重症虚血肢の要因は、糖尿病・高血圧・喫煙・加齢といわれており、近年その患者数が増加傾向にあるのが現状です。足病変は、糖尿病神経障害や網膜症などの視力障害から、傷があっても気が付きにくく発見がおくれてしまうこと、血流障害により潰瘍になってしまうことで、傷が治りづらく治癒が遅れてしまうことが重症化し、切断に至る大きな要因といわれています。 当院ではチーム医療体制を採用して下肢局所疾患の予防、診断、治療(薬物、血管内治療、バイパス手術、局所皮膚処置など)を一人の患者に対して、それぞれの専門家(血管外科・循環器内科・皮膚科・整形外科・腎臓内科、専任看護師、検査技師)がお互いに協力し集学的治療を行っていきます。

代表的な疾患や治療について

下肢静脈瘤、深部静脈血栓症

下肢静脈瘤は静脈弁がうまく働かなくなる、あるいは壊れることで発症し、下肢静脈がこぶのように異常に膨らんだ状態をいいます。根本的な治療のためには手術が不可欠です。自覚症状はない場合が多いですが、下肢がむくんだり、冷感、痛み、かゆみ、足がつるなどの症状が出現したりすることもあります。悪化して下肢に皮膚炎や湿疹ができたり、皮膚が硬くなって色素沈着を生じたり、ひどいと潰瘍を形成したりします。このような状態を下肢静脈うっ滞症候群といい何らかの治療が必要となります。一般的な外科治療はストリッピング手術でしたが、最近ではレーザーや高周波を用いたカテーテルによる血管内焼灼術が主流となってきております。当院ではストリッピング手術、高周波焼灼カテーテルによる血管内手術にも対応しております。血管内症灼術治療の場合、出血が少ないなど身体的な負担が少なく、再発率も低いことが大きなメリットとなっており、傷が小さくてすみ、局所麻酔と軽い全身麻酔だけで受けられるため麻酔リスクも低くなるという特徴があります。

下肢静脈瘤は①夕方にかけふくらはぎがむくむ ②就寝時にも足がよくつる ③足のかゆみが出る ④足に茶色い色素沈着ができた 等の症状がある場合は要注意です。
立ち仕事や腹圧がかかるような妊娠や便秘も原因となることがあります。

血管内焼灼術

皮膚に開けた小さな開口部からテーテルを対象静脈に挿入してカテーテルから放出されるエネルギーにより静脈を閉塞させてしまう治療です。体にはわずかな侵襲で治療ができます。
ラジオ波血管内焼灼術
レーザーの代わりにラジオ波(高周波)を用いて静脈壁を焼灼する方法。
周囲組織がダメージを受けることなく、静脈壁をよりばらつきなく均一に焼灼できる。

血管内塞栓術

シアノアクリレート系接着剤による血管内治療で、局所麻酔下での手術が可能です。

ストリッピング手術

鼠径部や足首などに小さな切開を行い、原因の静脈を除去し、静脈瘤の切除や結紮術を行うことです。

深部静脈血栓症は深部静脈という下肢の中心にある静脈に血栓(血のかたまり)ができる 病気です。重症の場合は入院治療をするエコノミー症候群の原因でもある病気です。 診断のため血管エコーや静脈造影などを行います。治療としては血栓を溶解する薬や再発を予防する薬を投与します。発症早期の場合はカテーテルを使用して血栓を溶解する治療を行う場合もあります。

閉塞性動脈硬化症

最近注目されるようになった疾患で、間歇性跛行という歩行中に下肢に疼痛が生じることで発見されることが多い病気です。足の血管が狭窄や閉塞をきたすことで起こる病気ですが、高率に心臓病を合併することが報告されており診断検査の進歩から発見も増加しています。 当院では常時ABIやSPPという足の血液の流れをみる機械や下肢の超音波検査で検査することが可能です。必要ならMDCTやMRIなどを利用した動脈造影検査で診断します。さらに、薬物療法や運動療法で効果の得られない場合や重篤な血流障害から下肢が壊死に陥るような場合は手術が必要です。

PTA(EVT)

カテーテルを利用して、閉塞し狭窄した下肢の動脈などを拡張する血管内治療を循環器内科と協力して行っています。 局所麻酔を行って治療するカテーテルを挿入しますが、挿入する場所は病変部位によって異なります。当院では主に鼠径部、上腕部、膝裏の血管を利用してカテーテル治療を行います。特に膝から下の下肢の治療、透析患者様にも治療を行っています。

下肢バイパス手術

血管内治療(カテーテル手術)が施行不可能な症例や不成功例を中心に外科的にバイパス手術を行います。 手術の術式は病変部位によって異なりますが、人工血管などを使用して閉塞した部位の迂回路(バイパス)を作成します。

当院では、血管内治療(カテーテル手術)とバイパス手術のハイブリット手術も積極的に行っております。

腹部大動脈瘤

主に動脈硬化等に理由により、動脈が部分的に瘤状に膨れる病気を動脈瘤と呼びますが、中でも頻度として最も多いのが腹部大動脈瘤です。動脈瘤が大きくなると破裂して約9割の方が失血死しますので、非常に致死的で厄介な病気ですが、一般的には破裂するまで無症状で経過します。男性に多く、高血圧などの危険因子を持っている方の発症頻度は高くなります。腹部大動脈瘤の治療適応は、動脈径が4cm以上または短期間に動脈瘤が拡大する場合が手術の適応となります。

人工血管置換術

腹部を30cm程切開して大動脈の血流を一時的に遮断して、瘤の部分を 人工血管で置き換える手術です。