腎臓・人工透析内科

診療・各部門

「腎臓・人工透析内科」とは、腎臓の中でおきている病態、さらにはそこから全身にかかる病気を治療する「腎臓内科」と血液浄化療法を駆使して全身状態を良くしていく治療を行う「人工腎臓内科」の2つを診療している診療科です。

目次

医師紹介

医師名 役職 認定医・専門医
宇田 晋 腎臓・人工透析内科部長 ・日本内科学会総合内科専門医・指導医
・日本腎臓学会腎臓専門医・指導医・学術評議員
・日本透析医学会透析専門医・指導医
・日本腎臓リハビリテーション学会代議員
安藤 宙和 医員
柏木 愛 医員  
細川 緑 非常勤医師 ・日本内科学会総合内科専門医・認定医
・日本透析医学会専門医
・日本腎臓学会専門医
・日本リウマチ学会専門医
小林 裕祐 非常勤医師  
加藤 美玖 非常勤医師  
上原 立巳 非常勤医師  
大上 尚仁 非常勤医師  
松瀬 瑞穂 非常勤医師 (水)  
五十嵐 公嘉 非常勤医師  
松岡 友実 非常勤医師  
一條 聖美 非常勤医師  
田中 裕也 非常勤医師  
齋藤 智之 非常勤医師  

外来担当表

 
宇田 塚本 安藤 宇田 柏木
  細川  宇田(午後・不定期)    

当科で実施している腎臓病に関連した診療の概要

  外来 入院
血液生化学検査(特殊検査を含む)
蓄尿検査による精査
腎臓超音波検査
腎臓CT
腎臓MRI
腎生検 × 〇(3泊4日)
内シャント造設術 × 〇(1泊2日)
透析導入 × 〇(10日間程度)
内シャント修復(PTA含む)
血液透析診療 〇(※)
特殊浄化療法 ×
急性浄化療法 ×

(※)合併症入院診療中の維持透析診療を当科で承っております。当院では療養を目的とした入院は行っておりません。

「腎臓内科」とは?

腎臓病には腎臓そのものの病気でそれがきっかけとなって全身病に発展していくもの、全身病が原因で腎臓病を発症するものなど数多くの病気があります。その中で腎臓を中心に診療を行うことがその人にとって最もいいと思われる場合にかかる診療科が腎臓内科です。腎臓を悪くする病気の中で最もイメージしやすいのは腎炎やネフローゼ症候群などのいわゆる腎臓病と思いますが、その他糖尿病、高血圧などの生活習慣病に関連した腎臓病、薬剤性腎障害、遺伝性の腎臓病、膠原病などの全身の免疫に関連した腎臓病、癌などの悪性疾患や血液疾患に関連した腎臓病など多種多様の病気があります。また高血圧も腎臓内科が診療することが多いのですが、以前より高血圧の病態の中心が腎臓にあると言われてきたためで全身病(動脈硬化)に発展する病気の代表例だからです。それらについて他専門診療との連携をはかりながら診療を進めてまいります。

どのような時に受診する?

腎臓病の初期症状の代表的なものはむくみ、血圧上昇、紫斑(赤紫の点状出血斑)などですが、病状が悪化するとだるさや食欲低下、むくみの全身への広がり、息切れ、出血傾向に進展していきます。初期の症状ではほかの病気の場合も数多くありますので多くの場合には診療所を受診された際もしくは通院加療の中で腎臓病が指摘され紹介される場合が多いと思われます。

ご自身で腎臓病ではないかと心配されて受診される場合でも症状に応じて診療をさせていただき、適宜症状に関する情報をうかがいながら診断を進めてまいります。その際には以下のものが情報として準備されていると診療に役立ちます。

  1. 健康診断もしくはこれまでの検査結果が記載されている書面
  2. 普段内服している薬(おくすり手帳)もしくはサプリメントの内容
  3. 血圧計が家にある場合は家庭血圧測定(記録)

どのような診療(治療)を行っているか?

現代の日本において重症化して腎機能が廃絶してしまう患者様が多い腎臓病の上位5つは以下の通りと言われています。

  1. 糖尿病性腎臓病
  2. 高血圧に関連した腎臓病(腎硬化症)
  3. 腎炎症候群
  4. 膠原病に関連した腎臓病
  5. 遺伝性腎疾患(特に常染色体優性多発嚢胞腎)

上記は治療内容から大きく3つにわけることができます。第一には生活習慣病に関連した治療(高血圧、糖尿病などへの治療)、第二に免疫に関連した病態に対する治療(ステロイド、免疫抑制剤、生物製剤など)、第三に遺伝性腎疾患に対する治療(常染色体優性多発嚢胞腎など)です。これらの3つの腎臓病治療(もしくは腎臓を中心に考えていくことが望ましい全身の病状)を行いながら診療を行っていきますが、病状によっては種々の血液浄化療法、特殊浄化療法を組み合わせ、多くの治療技術を有機的に組み合わせながら最も患者様に適した治療方針を提案してまいります。

第一の生活習慣病に関連した腎臓病については近隣クリニックで長らく通院されていて徐々に腎機能が悪化してきた結果、診断されるケースがほとんどです。糖尿病、高血圧などは引き続き近隣クリニックで診療が必要となりますが、当科で診療を承った場合行う診療は腎臓病に伴って出てくる合併症の治療です。腎臓病が悪化していくにつれて大きく5つの機能不全が出てきます。

  1. 高血圧
  2. 腎性貧血
  3. 体液電解質異常
  4. 骨代謝ミネラル異常
  5. 尿毒症

これらについて適宜診療を進めてまいります。

第二の免疫に関する病態に関連した診療はいわゆる腎炎に対して行われる治療となります。腎炎症候群はかつてステロイドを中心とする治療が大勢でしたが、近年は免疫機序の解明や薬物治療の進歩から一部の患者様においては免疫抑制剤や生物製剤をうまく使いながら治療成績を上げていくことが可能となりました。当院では血液生化学検査、尿検査、腎生検などを駆使しながらより確実な診断を行っていくことで、最も標準的な治療法はもちろんのこと、その人にとって最も良いと思われる治療選択肢を提案してまいります。

当科は成人の診療が主体ですが遺伝性疾患の一部は成人となって以降問題となる場合があり、それらについて診療を行っております。特に常染色体優性多発嚢胞腎(ADPKD)や体のミネラルバランスの異常から発見される病気(腎尿細管疾患)が主体となります。遺伝性疾患は治療法が確立していないものも多いのですが、病状によっては薬物によって進行抑制や症状の抑制が可能となるものもありますので、それらについて診療を進めてまいります。

慢性腎臓病(CKD)診療について

腎臓病はいかなる種類のものであれ急性期を乗り越えたのちも長期にわたり付き合っていく必要が多いため、付き合い方が不適切だとそれだけで病状が悪化していきます。そのため適宜経過を見ていき付き合い方を生活の中で実践していくことが欠かせません。この段階の病状を特別に慢性腎臓病と言っています。慢性腎臓病診療は何年もの(場合には寄っては生涯にわたる)長期間にわたるものであるため、日常生活に影響を及ぼしまた日常生活が腎臓病に影響していきます。そこで医師による診療に加えて、病状に関する心構え、理解、将来に向けた病気との付き合い方などを相談する看護外来を合わせて行っていきます。

「人工腎臓内科」とは?

腎機能障害が進行し全身状態が悪化した(もしくは悪化することが予想される)場合、血液浄化療法を行い、全身状態を改善していく必要があります。病状によっては一時的に血液浄化治療を行って病状悪化を防ぐ必要があり、本当に腎機能が廃絶してしまった場合には生涯にわたり腎代替え療法を続けていく必要もあり得ます。これらの血液浄化治療を行う診療を当院では特に人工腎臓内科と称して診療を行っています。代表的なものは腎機能悪化から全身状態悪化に至った患者様に対して行われる血液透析治療です。そのほかある種の免疫を除去する治療や、敗血症などの感染症の重篤な合併症に対する血液浄化療法などについても当科が血液浄化診療を行っております。

どんな時に受診している?

外来診療は基本的には当院で維持透析治療を受けておられる患者様です。入院診療は急性腎障害などで一時的に血液浄化療法が必要となった場合、もしくは他院で維持透析治療中の患者様で入院が必要となったその間の維持透析治療となります。既に他院での維持透析患者様が当院へ転医されることは原則として受付しておりません。診療情報を提供いただきます関係医療機関主治医の先生方にはそれまでの経過などを詳細におうかがいさせていただき、希望される患者様と十分に相談をさせていただいた上で対応を検討させていただきます。

どのような診療(治療)をしている?

外来診療においては維持透析診療が中心となりますが、入院診療においては合併症診療目的で入院された透析患者様の維持透析診療の他、急性腎不全などに対する一時的血液透析治療、何らかの原因で全身状態が不安定な患者様に対する持続式血液透析濾過、特殊な病態に対する血液吸着療法などを行っています。